診療内容
整形外科では全身の骨や関節、筋肉などの外傷(けが)と病気を扱っています。痛い、しびれる、動かしづらいなど日常生活で不便を感じたら、気軽に相談にいらしてください。将来の骨折を未然に防ぐ骨粗しょう症治療にも力を入れています。
診療科目・診療内容
- 整形外科
- 外科
- リウマチ科
- リハビリテーション科
- スポーツ整形外科
- 小児整形外科
- ロコモティブシンドローム対策・予防
- 骨粗しょう症治療
- ペインクリニック
- 陥入爪(巻き爪)治療
- 外反母趾治療
首・肩が痛い
よくある首の症状
- 朝起きたら寝違えたような首の痛みがある
- 首肩こりがひどく、腕がしびれる
- 自動車で追突事故に合い、翌日から首が動かせない
代表的な疾患
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアとは、椎間板の一部が正しい位置からずれて、飛び出て神経を圧迫してしまう病気です。30~50歳代の世代によくみられます。首の後ろや肩、腕に痛みや痺れなどが現れます。重症例では、手足の麻痺を起こすこともあります。
治療方法
- 保存療法
椎間板ヘルニアは時間経過に伴い自然退縮することもあるため、まずは保存療法が行われます。 頚部の安静を図ることが基本となり、椎間板に過度の負担をかけないように常に正しい姿勢を保つことが大切です。症状が強い場合には頚椎カラー(ネックカラー)と呼ばれる装具をつけて安静にすることもあります。消炎鎮痛剤やビタミン剤等の内服治療や神経ブロック注射を行うこともあります。物理療法(温熱療法、けん引治療、低周波治療など)も有効です。 - 手術
頚椎椎間板ヘルニアが進むと運動麻痺症状が進行するため、手術が行われることがあります。MRI検査にてヘルニア(飛び出し)の程度を確認し手術適応を判断しますが、手術となるケースは多くありません。
頚椎捻挫(むち打ち)
追突事故などにより頚椎が過度に伸展し、次いで反動で屈曲して生じます。
損傷は頚部軟部組織にとどまり、画像検査では異常を認めないことが多い。
受傷の翌日になって強い頚部痛を自覚することが多く、頸椎の運動制限を伴います。頚部痛だけでなく頭痛や耳鳴り、吐き気など症状は様々ですが多くは数週間で徐々に軽減します。
治療方法
安静や固定は必ずしも必要ではなく、なるべく早く日常生活に復帰することが望ましいと考えますが、痛みが強ければ頚椎カラーをつけることもあります。 消炎鎮痛剤や頭痛に対応するための薬が処方されることがあります。 さらに、筋肉の緊張を和らげるためにトリガーポイント注射などの治療法もあります。 温熱療法や低周波治療などの物理療法も有効です。
変形性頚椎症
頚椎の骨自体や椎間板の加齢変性により、椎間板のつぶれや骨棘(骨の突出)形成、頚椎の配列異常が生じます。結果として頚椎からでる神経を圧迫したり、脊髄神経が圧迫され症状が出現します。
頚から肩まわりの痛みと運動制限が出現し、腕のしびれを伴うことも多いです。症状が進行すると手の動かしづらさや歩行障害、排尿・排便のコントロール障害を認めることもあります。
治療方法
内服治療や神経ブロック注射にて痛みやしびれを軽減します。温熱療法やけん引治療などの理学療法や日常生活上の負担軽減も症状改善には重要です。 筋力麻痺や歩行障害、排便排尿コントロール障害を認める場合には後遺症を軽減するために手術を検討します。
よくある肩の症状
- シートベルトを引っ張ろうとしても痛くて取れない
- 夜間に痛くて目が覚める
- 手が上がらないので棚の上の物が取れない
- 服の脱ぎ着が難しい
代表的な疾患
肩腱板断裂
肩関節を囲む4つのインナーマッスル(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)のことを腱板といいます。腱板のうち断裂するのはほとんどが棘上筋腱と棘下筋腱で、主として挙上動作に障害を来します。外傷歴が明らかな場合と高齢者では腱板が変性して断裂に至っている場合があります。 肩の挙上動作で痛みを生じて力が入りにくくなります。可動域制限は軽度であり、肩の拘縮症状はあまり認めません。
治療方法
腱板断裂を認めても手術になるケースは多くはありません。内服や外用剤を使用し痛みを軽減しつつ、温熱療法や可動域訓練、筋力強化訓練などを行うと症状は少しずつ改善します。
夜間痛や日常動作で痛みが強ければ関節内にステロイド剤等の注射を行うこともあります。
外傷による断裂で筋力が明らかに低下し、MRIで断裂部の厚みが十分である場合には手術的治療が選択されることがあります。手術は関節鏡視下で行うことが多いですが、広範囲の断裂の場合にはリバース型人工肩関節置換術を行うこともあります。
肩関節周囲炎(五十肩)
肩全体の痛みと可動域制限が特徴的で、肩の筋肉や腱の炎症が原因です。急性期と慢性期に分けられ、急性期は炎症が強い時期で、動作時、安静時、夜間いずれでも痛みを生じます。慢性期は炎症が鎮まりながら可動域制限が進行していく時期で、衣服の着脱動作などに支障を来します。肩前方を中心とした圧痛を認めます。
治療方法
手術治療が必要となることはほとんどありません。治療は痛みの除去と可動域制限の改善を行います。急性期には保温・就寝時の良肢位指導、消炎鎮痛剤・湿布処方、軽度の運動療法、関節内注射などの除痛対策をします。慢性期には可動域改善のための積極的なリハビリテーションを行います。治療をしなければ症状が一年以上続くこともあります。
腕・肘が痛い
よくある腕・肘の症状
- 雑巾をしぼると腕が痛い
- 肘が痛くて重い荷物を持てない
- ボールを投げると肘が痛い
代表的な疾患
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
手関節や手指伸筋群の腱は肘の外側(母指側)の上腕骨に付着しており、過度な負荷による腱の炎症です。テニスプレイヤーの発症が多く「テニス肘」ともよばれますが、他のスポーツや調理、重量物の運搬などでも生じます。 雑巾を絞る時や重い荷物を持ち上げるときに肘の痛みが出現し、安静時や肘の屈伸では痛みはほとんどありません。
主な治療方法
原因となる手関節を上げる動作を控え、ストレッチを行います。湿布などの外用剤や装具装用を検討し、痛みが強い場合には局所にステロイドの注射を行うこともあります。
肘内障
2~6歳の子供に発生します。急に手を引っ張ったり、ねじったときに肘の輪状靭帯が骨から外れかかり関節内に逸脱して生じます。麻痺したように手をたらして自身では上げられなくなるため肩を脱臼したと思って病院を受診することもあります。 肘の関節が脱臼したわけではなく徒手整復を行えば治ります。
肘離断性骨軟骨炎
骨の成長期にある思春期~青年期に、関節軟骨の下にある骨が骨壊死を起こし正常骨から離断するものでスポーツ障害として発症します。投球動作時の痛みや引っかかりが出現します。運動後には腫れることもあります。初期の段階では原因スポーツを休止し安静にて経過をみますが、病変部の分離がすすむと手術が必要となることもあります。早期診断にはMRI検査が有用です。
腰が痛い
よくある腰の症状
- 朝、起き上がるのが痛い
- 重いものを持ち上げてギクッと痛くなった
- スーパーでカートにもたれると楽に歩ける
- 尻もちをついてから痛くなった
代表的な疾患
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎の椎間板の水分が減り弾力性が失われることや、仕事やスポーツなどの負荷により椎間板が突出し神経を圧迫する疾患です。主な症状は腰痛と片方の脚のしびれ、脱力などです。
主な治療方法
椎間板に負荷がかかる動作(荷重と捻り)を控えて通常の日常生活動作を維持するよう努めます。急性期は鎮痛剤・坐薬やコルセットを使用します。痛みがつよい場合には神経ブロックを行います。牽引などの物理療法や腰椎コルセットを装用することも有効です。腰痛より下肢痛が強い場合にはMRI検査でヘルニアの部位・大きさを評価すべきと考えます。手術が必要な場合には内視鏡にてヘルニア摘除術を行います。
腰部脊柱管狭窄症
背中(脊椎の後ろ側)にある神経のトンネルの脊柱管が様々な原因で狭窄することで発症します。しばらく歩くと足がしびれたり痛くなって歩き続けることができなくなるが、しゃがんだり、座り込むと足の症状が消えて再び歩けるようになる(間欠性跛行)、立ち続けても同様の症状が出る、スーパーでカートを押すような前傾姿勢が楽である等が典型的な症状です。
主な治療方法
まずは症状軽減のため薬(痛み止めや神経の血流を改善するプロスタグランディン製剤など)を内服します。脚の神経痛が強い場合に神経根ブロックを行うこともあります。運動療法や痛みがでないような生活指導も有効です。 症状の改善が不十分で歩行困難が持続したり、排尿障害があれば手術を選択します。
胸椎・腰椎圧迫骨折
骨粗鬆症のある高齢女性では重量物を運んだり、尻もちをついたりすることで胸椎・腰椎の圧迫骨折を来すことがあります。痛みのため寝返りや起きあがり動作が困難となります。 骨密度が低い場合にはいつのまにか腰の骨が潰れていることもあります。骨折を繰り返すと背中が曲がり猫背になります。
主な治療方法
レントゲンやMRI検査で骨折椎体を早期に発見して早期に治療介入します。コルセットで固定し、骨折の痛みを改善する副甲状腺ホルモン注射剤かカルシトニン製剤の注射を開始します。椎体の圧潰程度をレントゲン検査でモニターしながら、前屈姿勢を避け、背筋の筋委縮を予防するようリハビリを行います。骨がつかなくなった状態(偽関節)になり痛みが続いたり、潰れた骨により神経麻痺症状がでた場合には骨セメント注入手術を行うことがあります。
膝が痛い
よくある膝の症状
- 歩き始め、立ち上がり、階段の上り下りで痛む
- 歩いていて急にガクッと膝くずれを起こす
- 腫れぼったくなって曲がりにくい
- 正座ができない、しゃがめない
- O脚が気になる
代表的な疾患
変形性膝関節症
ケガや加齢によって膝関節の骨の表面にある軟骨がすり減り、硬い骨同士がこすれ合い炎症や痛みを引き起こすことです。立ち上がり動作や歩き始め、階段を下りる際に痛みが増強するのが特徴です。滑膜炎を起こし関節内に水が溜まり、腫れることもあります。
主な治療方法
多くは手術にたよらない保存的治療で改善します。保存療法には、①日常生活動作の注意・肥満対策、②温熱療法などの物理療法と運動療法によるリハビリテーション、③装具療法、④湿布・鎮痛剤などの薬物療法とヒアルロン酸の関節内注射、があります。リハビリを含めた治療で十分な効果が得られない場合には人工膝関節置換術手術が推奨されます。安心して手術を受けていただける病院を紹介し、術後のリハビリは当院でも可能となります。
半月板損傷
膝関節内に存在し、クッションの役割をもつ半月板に亀裂が入ったり、ちぎれることで膝の関節痛がおこります。大きな外力による靱帯断裂や関節内骨折に伴う外傷性断裂と、加齢による軟骨変性がもとにある変性断裂があります。屈伸動作がしづらくなったり、引っかかり感や膝くずれ症状を認めます。超音波検査やMRI検査にて半月板損傷を確認します。
主な治療方法
若年者の外傷性断裂では内視鏡を用いた半月板縫合手術が行われることがあります。中高年~高齢者の変性断裂では、ヒアルロン酸の注射、足底板の装着と大腿四頭筋の筋力増強を含めた運動療法が主体です。ヒアルロン酸の関節内注射は、摩耗してささくれた軟骨の表面を注射成分が覆って摩擦を減らしたり、軟骨自体に吸収されてクッションになったり、ヒアルロン酸自体に抗炎症効果があるとされています。週1回で5回注射を行う方法が一般的です。
膝靭帯損傷
膝関節には主に前後の十字靭帯と内外の側副靭帯がそれぞれ1本ずつ(計4本)あります。 その中でスポーツ中に膝をひねって受傷した際に損傷しやすいのが前十字靭帯と内側側副靭帯です。受傷時に断裂音を感じることもあり、その後膝の痛みと腫れを認めます。 靭帯損傷は無治療で放置すると将来的に膝の変形をきたすおそれがあります。
治療方法
ケガをした直後は膝関節を固定して安静をはかり冷却をします。関節内にたくさん血が貯まった場合には穿刺し、関節内血腫を除去して除痛をはかります。 その後、膝装具着用やテーピング、大腿四頭筋やハムストリングスの筋力強化を徹底することにより手術を回避します。積極的なスポーツ参加者や膝くずれを繰り返す場合には手術にて靭帯再建を行うこともあります。 術後のリハビリは長期間に及ぶため退院後リハビリは当院でも行っています。
爪が痛い
よくある爪の症状
- 爪の周囲が赤く腫れている
- 爪が分厚くなり変形している
- 爪の縁が巻いて皮膚に食い込んで歩くと痛い
代表的な疾患
爪周囲炎
さかむけ、爪周囲の傷、慢性的な刺激(水や洗浄剤などによる)により生じた皮膚の裂け目から細菌が侵入し爪周囲の組織に感染を起こした状態です。早期であれば患部を清潔に保ち抗生剤の内服で治りますが、膿がたまった場合には切開排膿処置が必要なこともあります。
巻き爪・陥入爪
巻き爪とは爪の縁が彎曲し皮膚に食い込んでいる状態です。主に足の第1趾の爪にみられ 深爪や不適切な靴選びなどが原因で起こります。深爪が皮膚に刺さり炎症を起こした状態は陥入爪と呼ばれます。巻き爪や陥入爪の炎症部位から細菌感染を起こすこともあるため悪化する前の早期の治療が大事です。重症化した場合には麻酔をかけた後、爪の巻いている部分を切除し、同じように爪が生えてこないように爪母に処置を行います。手術時間は15分程度で当院でも行っています。
爪白癬(爪の水虫)
カビ(真菌)である白癬菌が爪に入り込んで感染し増殖することで爪白癬が起こります。白癬菌が爪に入り込んで増殖するとその部分が白色や黄色に濁って見えるようになります。進行すると爪が厚くなりボロボロになって崩壊していきます。足白癬や爪白癬によって生じた小さな傷がきっかけで細菌感染を起こすことがあり早期の診断治療が大事です。白癬菌に有効な抗真菌薬の内服や外用薬を使用します。
骨粗しょう症が心配
骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる疾患です。骨粗鬆症になっても痛みはないのが普通ですが、転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。骨折しやすい部位は、せぼね(脊椎の圧迫骨折)、手首(橈骨遠位端骨折)、太もものつけ根(大腿骨頚部骨折)などです。大腿骨頚部骨折を起こすと痛みで歩けなくなり、また脊椎圧迫骨折では背中や腰が痛くなったあとに、丸くなったり身長が縮んだりします。骨折によっては手術が必要です。また、骨折を契機に「寝たきり」になってしまう可能性もあります。
50歳以上の女性は一度検査が必要です。 骨量は、20~30歳頃の若い時期をピークに、年齢とともに減少していきます。特に女性は閉経を迎える50歳前後から骨量が急激に減少し始め、女性ホルモン(エストロゲン)の減少や加齢と関わりが深いと考えられています。しかし、早期に専門的な治療や適切な生活改善を行えば、骨密度の減少を改善し、骨折リスクを大幅に減少させることが可能です。
骨粗しょう症の検査
骨粗鬆症の有無を診断するにあたり、骨密度検査(DXA法)、骨代謝マーカーの検査、X線検査が有用です。
1.レントゲン検査により脊椎の脆弱性骨折(いつのまにか骨折)の有無の確認
2.骨密度検査(DXA法)
骨の強さを判定する尺度の1つに「骨密度」があります。当院では、座ったまま手首で測定可能な骨密度測定装置を導入しています。検査時間は約30秒で放射線被ばくは心配する必要がなく、まったく苦痛のない検査ですので半年に1回程度の骨密度検査をお勧めします。
3.骨代謝マーカーの検査
採血で「骨の新陳代謝のバランス」を調べます。血液中の骨吸収(骨を壊す)と骨形成マーカーのバランスが崩れると、骨は弱くなります。また、骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人では骨密度の低下速度が速いため、骨密度の値にかかわらず骨折リスクが高くなっています。
骨粗しょう症の予防と治療
骨粗しょう症の発症には、加齢や閉経以外にも食事・運動習慣などが大きく関与していますので、食事・運動療法も骨粗しょう症の予防と改善には欠かせません。一人ひとりのライフスタイルに合わせた予防法を提案します。
薬物療法
病状が進んだケースでは、食事療法や運動療法に併せて薬物療法を開始します。
主な骨粗しょう症の治療薬
骨の破壊を抑制する薬
- ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)
- 骨吸収を抑制することによって骨形成を促進し、骨密度を増やします。特に有効性の高い治療薬で、現在、骨粗しょう症治療の第一選択薬です。骨を吸収する破骨細胞に作用し、過剰な骨吸収を抑制します。月に1回1錠だけ内服します。
- 選択的エストロゲン受容体作動薬(SERM)
- 女性ホルモンのエストロゲンに似た作用があり、骨が壊れるのを抑制し、骨量を増加させます。骨質を改善する効果があると言われています。
- ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤(デノスマブ)
- 骨を壊す破骨細胞の働きを抑えて、骨の破壊を抑制することで骨量を増やし、骨折リスクを減らします。この薬の特徴は、6ヶ月に1回の皮下注射でよい点です。
骨を作る薬
- 副甲状腺ホルモン製剤(PTH)
- 骨形成を促進して骨量を増やし、骨折を減少させる薬です。週1回皮下注射する薬で骨密度が著しく減少しているなど、骨折リスクの高い方に用いられます。
骨の材料となる薬
- カルシウム製剤
- 食事によるカルシウムの摂取不足、乳糖不耐症の方、胃腸の手術後などに用いられます。多くは、他剤と併用されます。
- 活性型ビタミンD3製剤
- 活性型ビタミンD3には、腸管からのカルシウムの吸収を促して体内のカルシウム量を増やす働きがあります。また、骨形成も促進します。
交通事故にあった
交通事故にあった直後は「たいしたことない」と思っていても
- 首・背中・腰・手足の痛み
- 首・腰・手足が動かない、動かない方向がある
- 手足に力が入らない
- 手足のしびれ
- 頭痛・吐き気・めまい
- 神経過敏・睡眠障害・記憶力低下
などのような症状が残ってしまった、という患者様が多くいます。事故直後は、ショックや緊張で痛みや違和感を感じず、2~3日して気分が落ち着いた頃から、お体の不調を訴えられる方が多いです。少しでも痛みや不調を感じられたら、できるだけ早くご来院ください。
事故に遭った後すぐに、整形外科に来院して欲しい理由
1.正確な損傷部位診断
事故の状況や症状から、損傷部位を予測して画像検査(レントゲン、超音波検査など)を行います。症状が軽度でも、骨折や腱の断裂などの重大な損傷が見つかることも多々あります。適切な検査、診断がなされずにマッサージや整体治療を受けることで、症状が悪化するケースもあるため、正確な診断が求められます。
2.運動器リハビリテーション
事故で損傷を受けた部位に合わせて、運動療法・物理療法・装具療法を組み合わせた運動器リハビリテーションを行います。症状の緩和だけでなく、元の生活や仕事への早期復帰を目標に、身体機能の改善、日常生活動作の再獲得を図ります。
3.後遺障害診断書
後遺障害の等級認定の申請や損害賠償金の交渉の際には後遺障害診断書が必要になります。 後遺障害診断書は、医療機関でのみ発行できます。(接骨院などでは発行できません。)初診時の症状・診断と、治療を経て残った症状を比較して後遺障害診断を行うため、事故後時間が経ってから初めて受診されても後遺障害とは診断できません。
手足がしびれる
手のしびれ
上肢(肩から手指まで)のしびれの原因は頚椎から指先までつながる末梢神経の障害であることがほとんどです。しびれの部位や症状を診察することで原因となっている神経や部位を推測することが可能です。レントゲンやMRI検査、超音波検査にて神経のどこに障害があるかを画像で確認して確定診断となります。首で神経が圧迫される頚椎症性神経根症や、肘から手首で神経が圧迫される手根管症候群(正中神経障害)・肘部管症候群(尺骨神経障害)などが多くみられます。
治療方法
神経の圧迫を回避するような生活上の注意と内服薬で痺れの症状を和らげます。神経ブロックや物理療法などのリハビリも有効です。しびれは比較的長びくことが多いため仕事や日常生活に支障がでないよう治療をしますが、改善がない場合には神経を圧迫している靭帯を切るような手術を検討することもあります。
足のしびれ
下肢(臀部からつま先まで)のしびれの原因は、
- 腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など腰に原因がある末梢神経障害によるもの
- 慢性閉塞性動脈硬化症など末梢動脈の血流不全よるもの
- 糖尿病性神経障害のよるもの
症状や診察所見にて原因はほとんどわかりますが、レントゲンやMRI検査、超音波検査、血液検査を行うことで原因疾患を確定し治療を行います。
血流障害が原因の場合には血管外科や循環器内科へ、検査にて糖尿病の疑いがあれば内分泌内科へ紹介となります。
腰由来の神経障害に対してはしびれを軽減する薬や神経の傷の修復を促す薬の内服や神経ブロック、物理療法にて治療を行います。
ケガをした(擦り傷、切り傷)
擦り傷・切り傷
深い傷や血が止まらない場合には縫合処置や止血剤を使用して傷の処置をおこないます。この際、動脈や神経、腱などの損傷が生じている場合には、これらの損傷部位に対する治療が必要となることもあります。ケガをした際に強くぶつけていたり、腫れが強く骨折が疑われればレントゲン検査をすることもあります。
泥などで傷口の汚染が強い場合には、麻酔下に洗浄処置をおこないます。土のなかには破傷風菌やその他の細菌が存在するため、感染をつよく疑えば破傷風トキソイドや抗生剤の投与を検討します。
咬傷(動物に噛まれた傷)
傷口は小さくても奥が深い傾向があります。犬や猫(ヒトもそうですが)の口の中には雑菌が多く存在し、咬まれた傷は必ずそれらの菌で汚染されています。傷の深部を洗浄したり、腱や神経が損傷されていないか確認する必要があります。傷が小さいため早期に受診する方が少なく、赤く腫れたり、膿が出るようになってから受診する方が多いため、動物の咬傷は受傷してすぐに来院してください。